袴田さん釈放で改めて「死刑」を考える——日本の「死刑執行」の実態は?弁護士ドットコム4月4日(金)14時10分 「世界で最も長く収監された死刑囚」としてギネスブックにも掲載されている袴田巌さんの再審開始が決まり、ついに釈放となった。 1966年に逮捕されてから48年。1980年に死刑判決が確定してから34年の月日が流れていた。長い間、「死刑囚」として生活し、精神的にも強い重圧を受け続けていた袴田さん。一時は、弁護士や家族との面会を拒否した時期もあり、釈放後のいまも、家族や支援者とのやり取りでかみ合わない部分がみられるという。 ●「死刑」はいつ執行されるかわからない 死刑囚としては、いつ刑が執行されるかわからない、という状況が続くわけだ。 「死刑囚は、『いつ死刑を執行されるのか』という強い恐怖感を持ちながら、日々を拘置所の独房で過ごすことになります。死刑の確定から執行まで、短い人で数カ月間、長い人だと数十年にもわたって、そのような恐怖感を抱き続けることになります。この心理的負担は大きく、死刑囚の自殺を防止するために、常に刑務官が監視をしているほどです」 ●朝食後、刑務官3人ほどが独房の前で止まったら・・・ 「死刑囚が『執行の時』を知るのは、朝食を食べたあとしばらくして、刑務官が3人くらい、自分の独房の前に止まったときです。死刑囚は、ほかの死刑囚が執行場所に連れて行かれるのを、見たり聞いたりしていますから、そのことの持つ意味を知っているのです。刑務官が3人がかりなのは、死刑囚が執行場所に行くことに抵抗するためです」 ●死刑執行の「スイッチ」が3つある理由 死刑の執行はどんな風に行われるのだろうか。 執行場所は床が開く仕組みになっています。刑務官3人(連行時の3人とは別)がスイッチを押すと、床が開き、死刑囚は床下に落ちて、首が絞まることになります。正確にいうと、実はこれは絞首ではなく、縊首なのです。 このとき、3人の刑務官は別々のスイッチを押し、このうち一つのスイッチだけが作動するようになっています。これは『実際には誰が執行したのか』をわからないようにするためで、刑務官への配慮です」 「死刑囚の身体は、執行後もしばらく動いています。それが動かなくなって、死斑があることや脈がないことなどが医務官によって確認されると『執行完了』です。遺体はロープを解かれ、遺体安置所に運ばれて、そこで遺族や弁護人に引き渡されることになります」 ●死刑は「残虐な刑罰」なのか? このように死刑確定から執行までの流れをざっと説明してもらったが、執行までの経緯も、執行の方法も、まさに「極刑」という感じを受ける。 「裁判員裁判において、一般市民も死刑判決に関与するようになりましたが、多くの市民はこうした死刑の実態を知りません。裁判官や弁護士も、死刑執行の立会いはできませんので、死刑の実態を本当に知っているとは言えません。また、執行を指揮命令する法務大臣ですらも、死刑執行に立会いません」 若林弁護士はこのように述べ、実態を踏まえた議論をすべきだと話す。 「残虐だという問題に加えて、死刑には、『冤罪』の場合に取り返しが付かなくなるという、別の大きな問題もあります。そうしたことから、世界では死刑を廃止した国のほうが多くなっています。 (弁護士ドットコム トピックス) PR |
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